概要
「FXとは」に記載した損益のうち、為替変動損益をできるだけゼロに近づけ、スワップポイント損益から収益を得ます。
スワップポイントは通貨ペア、FX会社、取引(買いか売りか)で異なるので、その差異をうまく利用するため複数のFX会社で取引をして収益を得ます。
為替変動損益をゼロに近づけるために、同一通貨ペアの買ポジションと売ポジションを同数保持することがコツになります。こうすることにより為替が変動して、一方のポジションで含み損がでても、もう一方のポジションで含み益がでるので、為替変動リスクを抑えることができます。
収益
この取引での収益元はスワップポイントです。例で、 南アフリカランド(ZAR/JPY)の取引を考えてみます。
2つのFX会社のスワップポイントは下表の通りで、買スワップ、売スワップともに異なります。
FX会社 | 買スワップ | 売スワップ |
ヒロセ通商(LION FX) | 15 | -25 |
セントラル短資(FXダイレクトプラス) | 7 | -10 |
※2019年11月最終営業日の1万通貨あたり一日あたりのスワップポイント
ヒロセ通商で1万通貨買って、セントラル短資で一万通貨売ると、為替変動損益を抑えながら、一日あたりスワップポイント差額の5円(=15-10)を得ることができます。
一万通貨ずつの売買だと、一日あたり5円の収益しか得ることができませんが、百万通貨ずつ売買すると、一日あたり500円の収益を得ることができます。
2019年12月時点では、この百万通貨ずつの取引は250万円の資金があれば比較的安定的に運用を続けることができ、スワップポイントが変動しなければ年間で約18万円(年利約7.3%)の収益を得ることができます。
費用
収益を減らすマイナス要因(費用)が二つあります。
①手数料・スプレッド
新規取引の際にかかる手数料とスプレッドです。FX会社によりますが、手数料をとるFX会社は多くないので、スプレッドのみが費用となることが多いです。
②為替変動損
この取引では複数のFX会社を使うことになりますが、FX会社によって為替レートの動きが異なること、およびスプレッドが広がることにより、一時的に為替変動損(含み損)が大きくなることがあります。経験上、一時的に含み損が大きくなっても、時間が経てば元に戻ります。
リスク・注意点
FX取引自体のリスクがそのままこの裁定取引のリスクになりますが、それに加えて裁定取引に特有の注意点があります。
①スプレッドによる損失解消日数
取引開始時にスプレッドが発生するので、マイナスからスタートすることになります。そのマイナスを解消するためには、しばらくポジション(取引)を保持し続ける必要があります。
マイナス解消にかかる日数は、このブログ内のツールで計算することができます。
②スワップポイント変動
FX会社によっては頻繁にスワップポイントが変わることがあり、改悪された場合、収益源となるはずのスワップポイントで損失を被ることもあります。また、①に記載したスプレッドによる損失が解消される前にポジションを解消すると、収益がプラスになりません。
③為替変動損
先にも記載しましたが、一時的に為替変動損失(含み損)が大きくなることがあります。レバレッジを抑えたり、別のFX会社に乗り換えるときにポジション(取引)を解消することがありますが、含み損が少ない時にポジション(取引)を解消することにより、想定外の損失を被らないようにします。
④資金移動
為替が一方向に動くと、買口座もしくは売口座の証拠金維持率が減り、ロスカット基準に近付きます。ロスカットにならないように、他方の口座から資金を移動させて証拠金維持率が適切な水準になるよう管理する必要があります。
FX口座から他のFX口座に直接資金移動することはできず、必ず銀行口座経由になります。FX口座への入金は即時に反映する方法がありますが、出金は数営業日かかるので注意してください。
FXスワップポイント裁定取引に向いている人
- 一発逆転を狙うわけではなく、コツコツ資産を積み上げることができる人
- 週一回程度は口座状況を確認し、状況に応じて口座間の資金移動やポジション見直しをする時間があり、この労力をいとわない人
- この取引で利益が出ない期間は、他の資産運用をしたり、利益無しを許容できる人
補足
スワップポイント裁定取引においては、相関性の高い異なる通貨の取引(通貨Aを買って、通貨Bを売る)をしてもいいのですが、上に書いたように同じ通貨を売買するのが分かりやすく為替変動による損失も抑えやすいです。